<物語>
とある郊外の公営住宅。
会社員のお父さん。パートタイマーで働く
お母さん。4歳の妹ナホと小学三年生の
ユウナの4人家族が住んでいました。
ある朝、起きてきたユウナは
お母さんに誘われて、生まれて
はじめてお弁当作りに挑戦します。
卵焼き作りを教わり、慎重におかずを
お弁当箱に詰めていきます。
それから、朝ごはんを食べるため
皆で食卓を囲んでいると、何気ない
お母さんの提案から、お父さんとの間に
不穏な空気が流れ始め…
初夏の平日の朝を舞台に、
家族における絆とは何か
という本質を考える物語。

<解説>
制作当時、監督をするなら20代にどうして
もフィルムで1本は撮っておきたいと思っ
ていました。しかし、16mmでの撮影は初
めての経験だったのもあり、想像以上に苦
労を重ねて制作することとなりました。 
撮影は千葉県にある団地の一室を借切って
敢行。設定上、1日の中の僅か数時間しか
撮影ができない為、通常の倍以上である14
日をかけて撮影されました。      
.
制作の出発点となったのは、「はじめての
おつかい
」(福音館書店/筒井頼子作)と
いう一冊の絵本でした。        
そこには、初めてのお使いのドキドキ感が
少女の視点で活き活きと描かれていて、短
編の題材としてはぴったりの分量でした。
しかし、絵本でこそ成立するスタイルを、
実写に変換していくことは難しいと判断し
、物語もテーマも大人向けに置き換えて形
にならないかと考え、始めから再構築する
事となり、現在の形になりました。   
.
主演を演じた女の子は実際ロケ地の近所に
住んでいた子供で、妹役の子と共に実際の
姉妹をそのまま役に起用。まるでドキュメ
ンタリーなリアリティを作品に与えてくれ
ています。そして、その現実感に合わせる
かのように、お父さん役も自主映画のスタ
ッフ(役者もされていましたが)で出会っ
た丸島健さんに出演して頂きました。お母
さん役を演じた増田陽子さんは、私が通っ
た大学の演劇サークルの出身で、卒業後も
舞台女優として活動していたところをお願
いし、役同様に4人のキャラクターの要と
して出演しています。また、劇中に流れる
ラジオの声の出演として、現在も、俳優や
声優として活躍中の竹尾一真さんが出演。
増田陽子さんと同様に大学の後輩で、学生
映画時代からの常連でもあります。   
.
完成された後は、様々な映画祭や上映会な
どで上映され、小田原映画祭では脚本家の
山田太一氏が審査委員長を務めるショート
フィルム部門でグランプリを獲得。   
それから16年を経て、現像所にネガフィル
ムを持ち込み、画面サイズをHD化する為
デジタルマスターを作り、テーマをより明
確にするよう再編集し、新作のように生ま
れ変わりました。           

<キャスト>
掛江佑奈
掛江那帆
増田陽子
丸島健
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(声の出演)
竹尾一真
鈴木ゆかり
石出裕輔
.
<スタッフ>
  脚本:石出裕輔
  撮影監督:良知暁   
  音声:上田洋 
  美術:中桐崇文
   記録:中澤さやか
  編集:石出裕輔
  音楽:野本昌嗣
撮影助手:増田佳恵
     伊坂沙和
照明助手:上杉直子
     撮影応援:多田正悟     
     森本智典
     小玉健太
     田中文枝
  監督:石出裕輔
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フィルム:KODAK VISION2 250D
現像:東映ラボテック
カラー:東京現像所
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2004年・2020年 / 16mm / 18min / STEREO